光の玉

あれは1971年の夏、友人の家に遊びに行った帰りでの出来事。

時間は夜の8時頃。友人の家からの帰り道、いつものように自宅の近くにある神社の横を通って行くことにした。
この道は神社の入り口に街灯があり、かなり明るく照らされている。神社側は暗いが、道は明るい。
いつも通い慣れた道とはいえ、暗がりに見える木々は不気味で、いつも何か出そうな、ちょっぴり怖いと思いながら、この時も歩いていた。
松の木などは、見れば見るほど何か得体の知れない化け物のように見えてくる・・・

そんなことを思いながら歩いていると、左前方の神社の社あたりから、どう表現していいのかわからないほどに輝く青白く大きな光の玉が、ゆっくりと浮かんで、ふわふわと街灯がある道に向かって動いてる。(私の進行方向の左から右へゆっくりと)

その光の玉はとても明るいけど、眩しい光ではなく、また明るい光の玉なのに、その光の周りはまったくの暗闇で、光の側がぼんやりと明かりがこぼれて見えるようなことがない。
なんとも不思議な感じだ。
光の玉の大きさは、両手で抱えるくらいの大きさがあり、光の玉の中を通した向こう側は、神社の石垣の模様が、はっきりと見える。そう向こう側が透けて見える位に光っているが、決して眩しい光ではない。

この日は、風もなく、あたりは静か・・・この道は今、私一人だけしかいない。
光の玉の移動している先は、私が歩いている正面の神社の入り口に向かって、ふわふわと降りてくる。このまま進めば、街灯のところで光の玉とちょうど出会うはずである。時間にしても10秒程の距離。

私は、息をのんで光の玉が出てくるのを待った・・・が、光の玉は現れない。
街灯の下へ来たところで、消えてしまったのだ。
光の玉と私との間に視界を遮るものは、街頭真下の狛犬の社のみ。光の玉が一瞬見えなくなるのは、その社の影になるときのみで、ほんの1~2秒程度のこと。その周りにはなにもなく私からは見渡せる場所だ。
あの光の玉はどこへ?

あたりに目を凝らしてみても人影は見えない。街灯の下からは、まっすぐな道。
光の玉が出てきたならよく見えるはず。
しばらく光の玉が出てきた社から街頭の下を眺めていたが、もう光の玉は現れなかった。
光の玉が出てきた社は、蛇を祭っているところで、その敷地の中に巨木がある。その巨木の中には、数百の蛇が住んでいると言われている。
滅多に人目に触れることはないけれど、一度だけその数の蛇が木の周りに出てきたところを見たことがある。
私の住んでいたところは、蛇の多いところだから見慣れてはいたけれど、数百にもなる蛇の群を見ると、さすがに恐ろしくて、それ以来その巨木に近づくことはしなくなった。
私が光の玉を見てから2年後には、もうその巨木には数匹の蛇だけになったらしい。

よくテレビの怪奇現象の番組で、光の玉みたいなのをオーブとか言うらしいけど、それよりもかなりおおきく、ぼんやりとした光ではないしい、光の玉の暗闇とのコントラストがはっきりしていて、かなり明るい。それが、ふわふわとゆっくり移動していたのだ。

結局あの光の玉は何だったんだろう?

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